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02 Interview YASUMASA YONEHARA

April 29, 2021
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Part.2 東京カルチャー仕掛け人 米原康正

YONE-Changでお馴染みアーティスト、写真家、編集者の米原康正さん。1990年代半ばに生まれた、東京・渋谷発コギャルブームの仕掛け人であり、また原宿ストリート・ガールズを世の中に広めた中心人物である。また写真家としてチェキを片手に、女の子たちのエロ可愛い写真を撮り続け、編集者としては、東京発カルチャーを仕掛ける第一人者として世界的に活躍。常にアンテナを張り巡らせ、先を見続ける米原康正さんの、これまでの軌跡と東京カルチャー誕生の話をお聞きしました。(Interviewer : KANA YOSHIOKA)

―― 写真を撮りだしたのは、いつからですか?

米原康正 簡単に撮れるってことでポラロイドが好きだったっていうのもあるんだけど、ちょうど2002年に『smart girls』を作ったときって『mini』が最高に売れていたときだったのよ。それで『mini』に出ている女の子たちが全然セクシーじゃないから、そこにセクシーを入れたらどうなのかなってことで企画書を書いて始まったのが『smart girls』だったの。1号目は僕が全ページの絵コンテ描いて作っていたんだけど、3号作った後にいざこざがあって大げんかして僕は辞めてしまったんだよね。だけどやめる前に、僕が連載をやっていたときに撮ったチェキのページまとめて写真集を出して、15万部売れたのよ。2作目も売れたから「このままチェキのカメラマンでいっちゃおうかな~!」って(笑)。その後『S Cawaii!』って雑誌で、もう亡くなられたしまったんですが、副編集長の国分さんという方が「エロカワ」っていう言葉を考えて「エロカワを一緒に広げませんか?」って。それでエロカワを謳いはじめたんです。

―― チェキで撮影するスタイルは米原さんが仕掛け人だと思いますし、世界的にチェキの人気が再発したのは米原さんのおかげだと思うんですよね。

米原康正 自分もそう思います。ポラロイドを使ったら誰かのパクリになるって絶対に思っていたし、チェキってすごくアートマターなのに誰も使っていなかったからいいなと。だけど最初は大変だったんだよ。「こんなんで印刷できるんですか」とか、現場でチェキで撮っていると「本番、まだですか?」って言われたり(笑)。「え、終わってるんだけど!」みたいな。

―― チェキをメインにした内容で、現代アートを取り扱うギャラリーでの個展も行うようになったかと思います。個展を開催した際の思い出話しはありますか?

米原康正 「BARRY FRIDMAN LTD」と言うニューヨークに現代美術のギャラリーがあるんだけど、そこで展覧会をやりましょうという話になり、2008年に個展をやったんです。そのときに「うちのギャラリーで販売する作品は100万単位なので、そういう作品も作って欲しい」って言われて、でもチェキだったからとにかく枚数を使って、でかい作品を作ったんですよ。僕の前は横尾忠則さんが展覧会をやっていたギャラリーなんですけど、「YONEのも全部売れるから」って言われてたの。それで「1億近くなるじゃん!」って話をしていたら、オープニングの2日前に関係者一同真っ青な顔になってて、「どうしたの?」と聞いたら、リーマンショックが起きてって。実際にニューヨークでリーマンショックを体験したのもすごいでしょ。もうみんなしょんぼりしてて。だけどどうにか作品は売れて良かったんですけど。

―― 米原さんが、現代アートに足を踏み入れたのがこれが最初でしたか?

米原康正 1997年から「アウフォト」という雑誌を作っていたんだけど、ちょうどその年にLOMOカメラのマティアスって今はLOMOの会長なんだけど、彼が僕のところにきて、「『アウフォト』を本屋で見つけたんだけど、どんな人が作っているのか見にきた」って。ちょうどLOMOが出た時期で、広告展開を考えているんだと言われて、ウィーンに行って2回展覧会をやったことがあったのよ。そこからヨーロッパやアメリカに呼ばれて展覧会をやるようになって、そのときは『アウフォト』に集まった素人の「写ルンです」で撮影した写真を大判にしたりして、それを作品にして飾って。ちょうど『egg』に出ていたコギャルたちは、「写ルンです」を使って(手を上に上げて)こうやって撮っていたのよ。なぜ彼女たちが「写ルンです」使っていたかというと、普通のカメラの場合は1.5メートル以内だとシャッターが押せなくなってしまうから、「写ルンです」でバンバンと撮っていたんです。それもファインダーも見ないで被写体にカメラを向けるだけ(笑)。どこ撮ってるかも分からない。だけどそれがかっこいいなと思って僕もそれを真似していろんなとこで写真を撮ってたんです。もちろんアート系のカメラマンさんたちには、そんな風に撮る人なんていなくて。だけどヨーロッパでそれをやり始めたら、みんなが真似し出してさ。こういうのってブームになるんだなって。

―― その流れすごく面白いです。コギャルのスタイルが米原さんを通過して、ヨーロッパへ飛び火したわけですね。

米原康正 『egg』でさ、こうやって「イエイ」って109の隣でスナップをやっていたんだけど、撮るときに女の子たちに「どんなポーズ取ればいい?」って聞かれるじゃない。僕はちょうどスチャダラパーと仲良しで、彼らが「イエ~イ」ってやってたから、それを教えたんだけど、スチャダラとコギャルたちのヒップホップの文脈はまったく違ったから、その「イエーイ」を彼女たちは知らなかった。コギャルの好きなヒップホップのアーティスたちは「イエーイ」はやってなかったんです。もちろんそれを知ってて、僕は彼女たちにそれを教えたんだけど、「え、ナニナニ何?」ってそれがすごく受けた。それで彼女たちなりの「イエイ」になったの……スチャダラの「イエ~イ」がコギャルの「イエイ」になったという、進化。

―― 米原さんは新しいものをキャッチする能力が、本当にいつも早いと思います。

米原康正 新しいの好きだしね。売れるちょっと前とか、マイナーなものでもメジャーになりそうなものとか、いい時期が好きなんだよね。だけど日本だとメジャーになるということは、形を変えることになるから、それがすごく納得いかなくて。マイナーなままメジャーになるということは絶対に可能なんですよ。アメリカのインディレーベルは、そのままメジャーになっていったりするじゃん。なぜ日本はそれができないのかが不思議で。

―― 「STRAYM」のシステムをどう思いますか?

米原康正 アート自体を所有するのか、アートを助けるのか。どちらかとういと、アートを助けて育てていこうという気持ちが感じられるかな。今は金のある人たちが介入していて、本当に違うことになってしまっているけど、アートが好きではじめているのか、お金が好きではじめているのかってところで差が歴然としているよね。やっぱりアートありき、文化ありきで考えていかないといけないと思うから。「STRAYM」は芯のある人たちがやっているから、そこはズレることはないと思うんだけど。

―― アーティストを助けるという意味でも、100円からでも作品の所有権を持てるという考えはいいですよね。

米原康正 クラウドファンディングとは違うかもしれないけど、若いアーティストを育てていこうとか、この人たちが有名になったときにリターンがあるっていうのは、お互いのプラスになるのかなって思ったりするのよ。最近はアートバブルで、アートを買う人たちが増えているけど、それでも日本はアートを買う人たちが少ないイメージだし、実際のところは若い人たちがアートに興味を持たないと、こういうシステムはすぐに終わってしまう。いかに今の高校生や大学生の人たちがアートに興味を持てるようにするか。で、そこにきちんと経済が動いていないと、いくら興味をもったところでそれは終わってしまうから。経済と文化の両方が成り立つことは、すごく大切なことだと思うのよ。アーティストたちに、お金が入ってこないと、その次の作品が作れないしさ。だからこのシステムはアーティストにはいいと思いますね。

―― 今後やっていこうと思っていることや、注目をしていることはありますか?

米原康正 SNSの世界はすごく面白くて、今「WEGO」と「放課後アート部」というのを作って企画をやっているのよ。今の中高生ってiPadを使って絵を描くことが多くて、そうするとSNSでその絵が行き来するから、その絵が外に出るっていうことがない。だからまず自分がiPadで描いた絵を外に出すことからやってもらおうと思って。プリントアウトしてみようだとか、iPadで描けるなら、キャンバスの上で描いてみようよとか。iPadの中でしか描けない子たちの中に、面白い子たちがいっぱいいるんですよ。彼らは生まれながらのiPad使いだから、僕らが想像つかないようなiPad使いとかもしているからさ。そのiPadの使い方も、個性がでてきたりしているから、そういう子たちを集めて何かできないかなとか。デジタルの作品を、どうオンリーワンの作品にしていくかというアイデアを出していくのがすごく楽しいですね。

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