< Back to All Stories

03 Interview TAIHEI SHII(Startbahn)

May 25, 2021
/
Written by:

Part.1 スタートバーン施井泰平が考えるブロックチェーンの活用性

現代美術家として活動しながら、テクノロジー・アートの未来を切り開く「スタートバーン」をスタートさせ、アートにブロックチェーンを活用することで、作品をよりよい形で未来に残せるようシステム構築に取り組む、施井泰平氏。ここ数年アート界を賑わせているブロックチェーンひいてはNFTを2016年から活用して、新時代に向けたアート流通のインフラを構築している。施井氏が目指す矛先は、「アートに関わる世界中の人々が、より豊かな社会実現を目指せるようになること」。アートの価値を担保するブロックチェーンについて、またアートとNFTの相性について、アートの可能性を広げようとしている施井氏に話を聞いてみた。(Interviewer : KANA YOSHIOKA)

―― 「スタートバーン」は、どのような経緯を経て設立をされたのでしょうか?

施井泰平 2014年に起業しているんですけど、元々最初は、2006年に始めたプロジェクトが背景にありまして。僕自身が現代美術家として、「テクノロジーを使ってアートのインフラを作る」というアートプロジェクトを始めたんです。当時から課題意識を持っていたのは、評価の定まってないアーティストの作品が売れる可能性を高めるためには、値段を下げなければいけないということでした。せっかく30日間かけて作った絵なのに1万円で売れと言われたら、元も取れないし絵具代も払えないってなるじゃないですか。だから当然、値段を下げることを嫌がるアーティストは多いんです。そこで、二次流通のときにアーティストに還元金が送られるようにすれば、結果的にその作品の価値が定まったときにアーティスト自身も潤うので、最初の買い手とのマッチングがしやすくなるだろうと仮説を立てました。2006年、この還元金の仕組みについて特許を取得し、それを実装するためには起業するしかないと思い、2014年に起業しました。最初は、作品の売買ができるプラットフォームを作って、その中に還元金の仕組みを実装しました。

―― その売買プラットフォームから、なぜブロックチェーンへ辿り着いたのですか?

施井泰平 作品を売買するプラットフォームをリリースしたのが、2015年なんですけど、当時言われたのが「ここで買った作品を外部のプラットフォームで二次販売されたらどうするの?」ということだったんです。このプラットフォームの中で買ったものが、またその中で売られた場合は還元金が支払われるけど、別のプラットフォームで売られたらどうなるんだと。一次販売での価格を抑えてまで還元金に期待しているのに、それを貰えなかったらどうするのかと聞かれまして。

―― 外部で二次販売されたら機能しないということですね。

施井泰平 ルールで締め付けるしかないけれど、それではこのプラットフォームを使っている人にとって幸せじゃない。ちょうどローンチ発表の映像にも、その質問に対する困ってる僕の様子が出ています。そんなときにちょうど「VERISART」というアートのためのブロックチェーン証明書のサービスがリリースされたことを知りました。ブロックチェーンってなんだろうと思っていろいろと調べたところ、この仕組みがあれば自分が直面していた課題が解決できるかもしれないと2015年の末に思ったんです。

―― 普通のウェブサービスとブロックチェーンを使ったウェブサービスは、何が違うのでしょうか?

施井泰平 普通のウェブアプリケーションの場合、例えばサービスAの中で作品を販売して、それを購入した人が別のサービスBで二次販売をしたら、その作品の履歴を追うことはできない。還元金もサービスAの中でしかできない。また、ブロックチェーンの仕組みについて1番有効性があると言われているのは、ひとつの会社だけが管理しているのではなく、世界中の人たちが脱中心的に管理しているという点です。仮想通貨のビットコインも、ブロックチェーンによって成り立っています。例えば「日本円」って、日本という国がなくなったら作れないじゃないですか。日本という国と日本銀行という機関への信頼で成り立っている。でもビットコインについては、誰か一人が権利や責任を独占しているわけではないんです。だから、「システム障害で、ご迷惑をおかけします」などと言う責任は誰にもないんですよね、なぜならビットコインは中心がいないから。

―― すごいですね……。

施井泰平 逆に言うと、世界中が止めようと思っても止められない仕組みになってるんです。中心がなくて増幅し続けるから。P2Pと言って、世界中の人が使ってるパソコンが繋がって、みんなが1個のデータを管理してるみたいな感じになってるんですよ。だから誰かが不正をしようとしても、みんな元のデータを見ているので、「これ不正!」というのがわかるわけです。一方、一般のウェブサービスのように1社だけでサーバーを持っていたら、不正したとしても外部の人はわからないじゃないですか。内部だけで操作できてしまう。

―― 確かに!

施井泰平 脱中心的にみんなの公共データベースみたいなものが作れる。ビットコインはその上で通貨のやり取りをするんです。「今私は10ビットコイン持ってます」「あなたは2ビットコイン持ってます」「1ビットコイン送金しました」みたいな情報が不特定多数の間で共有されると。

―― コインの行き来も公開されるんですね。

施井泰平 公開されます。ただ、あるアカウントアドレスからどこか別のアドレスに送金されていることは明らかにわかるけど、それが誰のアドレスかは特定できません。また、誰かが何か不正をしようとしても、その他のみんなで計算をして阻止できるようになっています。誰も改竄できないし不正できないので、一つの企業や国のような中心がないのにも関わらず信頼できるということが画期的なんです。

―― 確認できているというところに対する安心感が出てくるんですね。

施井泰平 誰かが正式に情報を書き加えたとしても、いつ誰が書き加えたのかがわかる。それが消されることも、上書きされることもない。この仕組みを使って電子通貨の決済を実現させたのがビットコインですが、それ以外のブロックチェーンプロジェクトも数多く開発されています。その中の一つとして、僕らはアート作品の証明書をブロックチェーン上に発行しています。ブロックチェーン証明書を発行したら、その情報は世界中の人に共有されるので、その後第三者が不正に登録しようとしても識別されてしまう。例えば、「これはダヴィンチの作品で、当時ダヴィンチ本人が登録したもの」であるということが継承されて、何百年も先に残すことができる。その過程の来歴なども残すことができるので、「その作品がどこで取引されたか」、「どこで展示されたか」のような情報が記録されます。「STRAYM」で売買されましたというようなこともわかる。自分の手元にある作品がどういう来歴を辿ってきたのかもわかるんです。

More ARTICLES

12 Interview IEIRI KAZUMA & HIRO SUGIYAMA
11 Interview RYOICHI HIRANO
10 Interview Uichi Yamamoto & Tetsuya Suzuki
10 Interview Uichi Yamamoto & Tetsuya Suzuki
09 Interview RK
08 Interview TOMOHITO USHIRO
07 Interview MASASHI OMURO
07 Interview MASASHI OMURO
06 Interview TOMOKAZU MATSUYAMA
06 Interview TOMOKAZU MATSUYAMA
05 Interview TAKATOSHI OGI
04 Interview TOMOTATSU GIMA
04 Interview TOMOTATSU GIMA
03 Interview TAIHEI SHII(Startbahn)
03 Interview TAIHEI SHII(Startbahn)
02 Interview YASUMASA YONEHARA
02 Interview YASUMASA YONEHARA
01 Interview HIRO SUGIYAMA(Enlightenment)
01 Interview HIRO SUGIYAMA(Enlightenment)
01 Interview HIRO SUGIYAMA(Enlightenment)