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04 Interview TOMOTATSU GIMA

June 25, 2021
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Part.2 儀間朝龍が見つけた、ダンボールから広がる創造の世界

―― 儀間さんがこれまでに通ってきたカルチャーの中で、表現しやすかったり、したいなと思うものはどのような方向のものになりますか?

儀間朝龍 2015年にPOP COLLAGEという名前を付けてシリーズを作り始めた頃、作品のテーマは「沖縄に届いた海外からの輸入品」でした。キャンベルスープなどの缶詰、ジュース、お菓子とかを制作しました。僕らが普通に飲んでるキャンベルスープというのは、沖縄で作られたものではなく、アメリカから来ているんだよなとか、沖縄では普通に海外のものがありすぎる中、そういった意識をダンボールというものを使って表現してみたかったのがシリーズの初めの頃なんですね。そのあとにジョーダンの靴を作りはじめました。理由としては自分のことを表現してみたかったんです。「Air Jordan 1」は自分が本当に好きなカテゴリー。バスケが大好きだったり、アメリカが好きだったりとか、スニーカーが好きだったりとか、僕のアイコンではないんですけど、僕らしいモチーフの一つでもあるなと思って。それから自分のコレクションしているアメリカンカルチャー系をベースに作りはじめたんです。

―― ということは、マイケル・ジョーダンのファンということですね。

儀間朝龍 大ファンです。

―― 脱線しますが、どれくらいマイケル・ジョーダン好きなのか教えてください(笑)。

儀間朝龍 短くいきます(笑)。存在に気付いたのは高校生のときです。僕は中学からバスケをやっていたんですけど、やっているうちにNBAなどのアメリカのバスケの情報がだんだん入ってきました。その中でマイケル・ジョーダンという選手がすごいということを知りました。当時、我が家にはBS放送がなかったんですけど、沖縄には基地があるおかげで、基地内のTV番組が無料で観られたんですよ。だからNBAの試合は機会があれば観ていて、その度にすごいなっていうことを感じていたんです。大学生になってバスケ部に入ったときに、今度出るジョーダンのバッシュを履こうよ! みたいな感じになって、友だちとAIR JORDAN 11を揃えたのがきっかけで、マイケル・ジョーダンのこともっと知りたくなったんです。彼のビデオを観たりして、人並み外れたプレーを観て憧れがどんどん増してきました。彼が2度目の引退をして、シカゴ・ブルズからワシントン・ウィザーズに復帰したときに、今後もしかしたら観るチャンスもないと思って、同じバイト仲間と一緒に試合を観にワシントンまで行って生ジョーダンを観ました。その後、NY留学中にシカゴまで行ってスタジアムで試合も観てきました(笑)。行けて本当によかったです。

―― Air Jordanシリーズはスニーカーの世界の中でもトップクラスに登場する人気モデルだと思いますが、ご自身の中では自信を持って制作できるものですね。

儀間朝龍 そうですね。もう本当に好きすぎて、とにかく作ってみたいという衝動的な部分はあります。作っていくうちに、いつかマイケル・ジョーダン本人に見せたいっていう思いが出てきました。いまはそれが一つ大きな夢ですね。

―― 最高です。今回、「STRAYM」で発表された、「NIKE “AIR JORDAN 1 - TRAVIS SCOTT”」ですが、制作するにあたり試行錯誤したことはありますか?

儀間朝龍 今回は作品から「音」を感じさせられたらと思い、細かい明るい色を多く使っています。あとはトラビスが履いているところをイメージしました。それと一緒というか、普段ジョーダンシリーズを製作するときは、コート上でマイケル・ジョーダンが履いてるときの靴のイメージはかなり意識します。やはりすごく輝いて見えるというか。だけど街中で見ると、大好きすぎて履きつぶした人もいたりとかして、対極のボロボロのイメージもあったり、あとは長いこと保管していると加水分解して壊れてしまったりとか、取り合いになってケンカになったり、誰かが死んだりとかそういう話も聞いたりしているので、明るい部分と暗い部分が同時にあるカテゴリーの靴だなというのが僕の中にはあります。あとは世界中のファンのところには、ダンボールに入っていろんなところに流通しているんだよなとか、頭の中が正直壮大になるんですよ。なんかもう異物ですよね、モチーフとしては。

―― スニーカーの先にさまざまな人たちの物語や気配を感じさせるスニーカーでもありますね。

儀間朝龍 感じますね。だから作った作品を見せると、感想が全員違う。「これ持ってた」とか、「これ買えなかった」とか、「これ履いてバスケしてたよ」とか、「買ったけどパクられた」とか、いろんな話が(笑)。こんなに各々の感想が違うっていうモチーフもそんなにないと思っています。だから作った側としてはすごく見せがいがあるというか、会話が楽しいんですよ。話のきっかけにもなってお互い楽しめるっていう。不思議なモチーフだなと本当に思いますね。

―― 「NIKE “CORTEZ KENNYⅢ - KENDRICK LAMAR”」はどうですか?

儀間朝龍 好きなモチーフの一つです。実は大学に入学して初めて買った靴が、コルテッツなんです。映画『フォレスト・ガンプ』に出てくる、白地に赤と青が入っているのを買ったんですよ。1995年にスニーカー大ブームがきて、エアマックス95とかが気になりだして、同時に古着屋さんもよく行くようになって、そこで古い靴にも出会ったんですが、自分の履いていたコルテッツが、実は1970年代にリリースされていたものの復刻だったことを知って、20年後のモデルを履いていることに気付いたんです。古いものを見ていくと、形は全然違うし、スニーカーが格好いいと思えるようになったのもコルテッツが一つの大きな影響を与えてくれています。

―― ストーリーがありますね。

儀間朝龍 だから古いやつも、色違いも持っていたりもするし、コルテッツは好きな靴の一つなんです。

「AIR JORDAN 1 RETRO HIGH TRAVIS SCOTT(2021)」儀間朝龍(TOMOTATSU GIMA)

「CORTEZ KENNY Ⅲ KENDRICK LAMER(2021)」儀間朝龍(TOMOTATSU GIMA)

岡沢高宏 今回なぜ「STRAYM」からこのふたつのモデルを依頼したかというと、儀間くんの作品を見させてもらって近年のコラボレーションモノはこれまでやっていなかったなと思い、ただ制作をしてもらうのではなく意味のある組み合わせやモデルを提案しようと考えました。近年ヒップポップ・アーティストがロック・アーティストよりもファッションを含めた社会的影響力をある意味超えてしまったと実感する中で、ケンドリック・ラマーとトラヴィス・スコットはまさにその中心にいて、この2アーティストがコラボレーションしたスニーカーはパブリックからコアユーザーにまで高い人気を博しました。また2アーティストのプロダクトのディテールに対する尊敬とこだわりがとても表れていると思ったのと、やはりヒップホップの文化もまたポップアートを受け入れ共存してきた関係であり、このような歴史を踏まえ精通するアーティストとして儀間くんは予想以上の表現力、そして完成度の高い作品に仕上げてくれました。

儀間朝龍 僕は過去にRUN D.M.C.のアディダスのモデル作ったり、いわゆる時代を代表するアーティストに関連するスニーカーは作ってきていたので、トラヴィス・スコットとケンドリック・ラマーの2人は、確実に今の時代に影響力のあるアーティストなので、そういういい機会を得られたことは、僕としても嬉しかったですね。

―― 環境問題について最近はどのようなことを考えられているかお聞きしたいのですが、この数年で、SDGsという言葉が多く聞かれる中、意識をして活動されていることはありますか?

儀間朝龍 SDGsという言葉は、2~3年ぐらい前から気になっていて、そういう考え方を世の中に浸透させようとしてる動きに関しては素直にいいなと思いました。だけど自分自身を振り返ると、SDGsという言葉が出てくる前から、自分がやっていることは当てはまる部分が多くあるので、とくにその言葉が出てきたからということで活動が変わったとかはないですね。POP COLLAGE とは別に「rubodan(ルボダーン)」という廃棄されるダンボールを使用したノートなどのステーショナリーブランドをプロデュースしています。ダンボールを分解して新しいものを作るというテーマでやってるので、ブランド名も「ダンボール」という言葉を分解して、「ルボダーン」って言葉を作ったんです。製法として、世界中で広げられたらいいなと思ったので、ワークショップでアジアの国へ行ったりとか、あとはYouTubeとかFacebookとかでアイデアをシェアしたりとかしています。 いまでは、障がいのある作業所の方々と一緒に商品を作っています。企業からダンボールを提供していただき、委託先のお店で販売している状況です。

―― 今後「rubodan」で考えている企画などはありますか?

儀間朝龍 「オリオンビール」さんと関わっていて、新たにプロジェクトを立ち上げているんですけど、ビールを作る工場で紙素材の廃材が出るので、それを使ってなにかできないかという話になっています。rubodanの技術と、工場の紙をかけ合わせて、また新しい商品というか、使えるものを作るプロジェクトをその工場の近くにある作業所の方たちと一緒に作り始めているところです。オリオンビールさんの中でも、ごみを本当にゼロにしたいという最終目標があるようなので、僕がやっていることと合致したという感じです。

―― では最後に「STRAYM」で出展されることについてご意見を聞かせてください。

儀間朝龍 「STRAYM」って100円からアートを買えるということで、自分がアートを持っているという所有権や、買ったものが価値のあるものになっていく可能性があることなど、考え方が新しいこと尽くめだと思うんですが、今回「STRAYM」さんに出品させてもらった大きな理由のひとつに、これまでに自分が経験をしたことがなかったことというのがあるんです。僕の作品がどのような扱いをアート界の中でされていくのかにも興味があるし、どれくらいの人が欲しがるのかなとか単純に興味があって、やってみようと思ったんです。

長崎幹広 儀間さんの作品含めて、我々「STRAYM」というサービスは、今までのアートマーケットを通じて取引される作品ではないので、作品がどのような扱いをされるのか心配されていたかと思うんです。その上、儀間さんの作品は我々にとってプライマリー出品第一号だったんで。儀間さんには勇気を持ってやっていただいたのですが、その様なアーティストの方々を我々が応援し増えていってもらいたいですし、今後も「STRAYM」で直接アーティストの方々が自身の作品を出品していける流れをどんどんと作っていけたらいいなと思っているし実現させていっているのですが、我々の動きに儀間さんはどう思いますか?

儀間朝龍 3年前にBEAMSさんのギャラリーで個展をやる前までは、僕はぜんぜん騒がれていなかったんですけど、その個展のあとに状況が一転して、信じられない話がたくさん頂けるようになったんです。その中で「STRAYM」さんとも関わり合いができたなと思うんですが、いろいろな意味で自分はまだこの状況を信じていなくて、不安もいっぱいあってまだ新人気分はあるので、この先何年かはがむしゃらにやっていきたいなと思っている最中です。

長崎幹広 その様に謙虚に客観的にご自分を見られている儀間さんは素晴らしいですね。そんな儀間さんという存在が我々は本当に嬉しいです。今、儀間さんにとってホップ・ステップ・ジャンプの、ホップの部分なのであれば、少しでも我々がお力添え出来ればと思っています。今後も我々がやっていることに関してご意見頂ければなと思っています。

儀間朝龍 ありがとうございます。これからもよろしくお願いいたします。

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